ロープライシング導入の是非
(ロードプライシング制度と導入することによって渋滞は緩和されるのだろうか)
2003年1月10日
情報科学部 情報科学科 h198065 小山 剛生
1. 問題の背景
現在の環境問題の中で、車と環境問題というテーマで研究し、調べていくと車がいかに多くの環境問題に関わっているか、すぐにわかる。しかしながら今の現代社会において車のない生活は考えられない時代になっている。
そんな中で車に乗らせないような社会にしていけば環境に少なからずとも、やさしい車社会になっていくと思う。車から出される大気汚染、排気ガス、騒音と少なからずとも減少する。
そこで、ロードプライシングという制度を用いることで、現在車社会が抱えている問題、渋滞問題がロードプライシング制度を導入することによって渋滞は緩和されるのか、どのような車社会になっていくのか、研究していきたい。
2. 報告の目的
普段なにげなく運転している車が、いかに環境問題にかかわっているかを認識させ、どのような車社会にしていくか、車と社会、環境を共存させるためにロードプライシングの導入の是非を考えていきたい。
3. 対象となる問題の概要
3−1.ロードプライシングとは
ロードプライシングは、一般的には「混雑する道路を運転する場合には、その権利の代償を支払うべきである」という概念により、非常に混雑する路線で有料道路のように料金を徴収するシステムである。1)
ロードプライシングは、交通渋滞や大気汚染の激しい地区での自動車利用に対して、現在の車の使い方を見直し、車と社会環境の共存していく社会を考えから自動車の利用を促すというものです。
ロードプライシングは、自動車社会がもたらす問題、大気問題、地球温暖化問題、交通騒音・悪臭や事故、交通渋滞の改善にできる施策で、特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金を行うものです。この課金により自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、(公共交通機関への利用転換)自動車交通量の抑制を図ることが期待できます。
3−2.ロードプライシング制度の導入の目的 ――2)
3−2.1 ロードプライシング制度の導入の背景
自動車を運転する人が増え続けることによっておきる交通渋滞は私たちの生活や社会、環境へ深刻な影響を及ぼしています。また自動車から排出される排気ガスによる大気汚染は私たちの生活に影響を及ぼしています。
また自動車利用者が増えればそれに平行して増える交通事故。こうした自動者の問題、自動車公害問題を解決し、快適で住みやすい都市を実現させるため、ロードプライシング制度の導入が進められています。
3−2.2 ロードプライシング制度の導入の目的
ロードプライシングは、交通渋滞や大気汚染の著しい地域に入る(運転する)自動車にたいしてお金を徴収することで、現在の自動車の使い方、利用目的を見直してもらう目的である。自動車と環境、社会を共存させる車社会を作り挙げるためにも車を利用させないような制度の導入(ロードプライシング制度)や公共交通機関への利用転換などによる交通需要マネジメント(TDM)を進める必要があります。
*交通需要マネジメント(TDM=Transportation Demand Management)とは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、交通行動の変更を促して、発生交通量の抑制や集中の平準化など「交通需要の調整」を図ることにより、道路交通混雑を緩和し、都市機能や都市環境を改善していく取組です。3)
4. 様々な視点からの検討
4−1 ロードプライシング制度の導入の利点
4−1.1 ロードプライシング制度の導入の効果
ロードプライシング制度を導入しえられる効果として自動車交通量が減り、渋滞を緩和し、大気環境が改善される。
ロードプライシング制度を導入することによって、少なからずとも、やたらむやみに車を利用する人が減る。車を運転する人が減少することによって交通事故、騒音・悪臭、交通渋滞が改善されていく。
現在の車社会がおよぼしている環境問題の改善におおきく期待できる制度であります。
4−1.2 ロードプライシング制度の導入時の自動車利用の変化
年々、増えつづけている自動車車利用者によって増えつづけている交通事故。
表1.自動車保有台数の推移――4) |
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表2.交通事故発生年別推移――――5)
この交通事故の問題はロードプライシング制度を導入することによって自動車を利用するものが減少し自動車の交通量が減少する。それと同時に交通事故も減少していく。しかしこの制度を導入したからといって交通事故が減るものではない。自動車を運転するものの安全運転がもっとも交通事故を減少させる方法である。
4−1.3 自動車がもたらしている大気汚染問題への効果
私たちが自動車と運転することによって大気、環境に排出している物質として、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、鉛化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質が大気汚染の問題関わっている。6)
この大気汚染問題への効果としてロードプライシング制度を導入することによって、自動車利用者が減少することによって、自動車が大気に排出していた物質が少なからず減少される。車がもたらしていた環境問題、大気問題、地球温暖化が多少なりとも改善される。
このロードプライシング制度は混雑対策だけではなく、自動車公害の発生源対策のひとつとして自動車利用者の制限し抑制すること効果が期待される。
4−2.ロードプライシング制度の導入の問題点――7)
4−2.1 公共交通への転換による影響
ロードプライシング実施後の自動車から公共交通機関への転換により、鉄道利用や路線バス利用が増えることが予想されます。現在でも朝夕方の通勤、通学のラッシュが自動車通勤だった人が公共交通へ転換することにより、公共交通の車内がさらに混雑する可能性がある。
ロードプライシング制度が導入させる地域の事業者、住民等への影響される。個々のケースにより影響の度合いが異なりますが、全体としては大きな不利益になる。
4−2.2 物価への影響
物流事業者が課金額を消費者に当てた場合消費者物価が上昇する可能性があります。
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物価指数
物価指数(課金前の物価を1として都内の物価への影響を総合的に表した数値。)
4−2.3 課金時間帯が及ぼす影響
課金が昼間に行われるため、自動車の利用が課金時間を意識的に避けるため早朝、夜間時間の課金が行われていない時間帯に自動車が利用される。このため、早朝や夜間の自動車の騒音・振動による地域環境への影響が考えられる。
また課金時間直前ぎりぎりに駆け込みや、課金時間終了前の故意の低速走行等により円滑な交通を阻害し、交通安全性を低下させる恐れがある。
ロードプライシングの導入により、大気環境の改善と渋滞緩和の効果は期待できるが
その一方で、導入による課金の負担や交通行動の変化は社会生活、経済面で問題がある。
5.
総合的な検討
5−1. 海外におけるロードプライシングの事例
シンガポール、ロンドン、オスロ、ソウルでのロードプライシング制度の導入目的、ロードプライシング制度の導入によっての効果を調べ、日本でのロードプライシング制度の導入について検討したい
表4.海外におけるロードプライシングの事例(目的・効果)
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シンガポール |
ロンドン(検討中) |
オスロ |
ソウル |
目的 |
中心業務地区での自動車交通量の削減と渋滞の解消 |
セントラルロンドンでの自動車交通量削減と渋滞の解消 |
交通インフラ整備(主に道路整備)の財源確保 |
ソウル市の中心業務地区の混雑緩和 |
課金方法 |
コードンプライシング |
エリアプライシング |
コードンプライシング |
ポイントプライシング |
効果 |
朝のピーク時間帯の通過車両が15%が減少 |
エリア内交通量の10〜15%が減少すると予想されている |
市内流入車両自動車交通量のおおむね5〜10%が減少 |
導入1年後の交通量が13.6%減少 相乗り者、バス地下鉄利用者の増加 |
その他 |
収入金は、国の一般財源に組み込まれる |
収入金は、公共交通機関の改善と運賃引き下げ、歩行者や自転車利用者のための環境整備などに充てられる |
収入金は、主に道路財源に充てられる |
収入金は、バスサービス改善を中心に、公共交通事業に充てられる |
エリアライセンス方式
・一定の期間内だけ走行利用できる許可証を購入させる
コードンプライシング方式
・規制区域の境界線を横切るすべての道路において入域賦課金を課す
―――――9)
5−2. まとめ
海外におけるロードプライシング制度の事例から見てもシンガポール、オスロ、ソウルなど、現在ロードプライシング制度が導入されている国は、ロードプライシング制度の導入の目的が自動車交通量の削減と渋滞の解消であったり、交通インフラ整備(主に道路整備)の財源確保が目的であったり、それぞれ違いますが、ロードプライシング制度の導入の効果は朝の交通車両が15%減少したり、車の相乗り者や公共交通機関、バスや地下鉄利用者が増加している。自動車交通量の削減や中心部の混雑緩和や渋滞解消につながっている。またこれからロードプライシング制度の入を考えているロンドンでは中心街、セントラルロンドンにおける自動車交通量は10〜15%が減少すると予想されている。そして日本でもロードプライシング制度を導入することによって都市の中心街の自動車交通量は減少すると予想される。渋滞緩和につながる。
6. 私見
私自身、このロードプライシングの導入についての考えとして、いままでの自動車の乗り方、利用の仕方では、社会、環境に問題を生じることはあきらかである。そんな中で何かはじめなければならない。環境、社会のためになにかしなければならない。小さなことからでもいいから何かはじめていかなければいけない。その何かというものがこのロードプライシング制度であってほしいと、このロードプライシング制度を研究していくにつれて強くなっていきました。
新しい制度を導入するということはいろいろな問題があるとはおもうが、最初はなんだって違和感がつきものである。問題はある。このロードプライシングの導入についても、経済的問題、課金場所などの地域社会生活の問題、公共交通機関への転換の問題、物価への問題、たくさんの問題を抱えているがこの問題は自動車がもたらす環境への影響問題に対しては比べものにならないくらい小さな問題に感じるようになりました。自動車に自由に乗れないようになっても、物価、経済的負担が多少上昇しても、いま及ぼしている環境問題が少しでも改善されていくのであればロードプライシングという制度が導入されて10年後、20年後、はやければ2年後には、いままで考えられていた問題が違和感なく感じられ、いままでずーとあったような制度であるように思うようになるに違いない。ロードプライシング制度の問題は必ずなくなる。
また 5の総合的な検討の中で述べた海外のロードプライシング制度の事例として述べた課金徴収された収入は、シンガポールなどは、国の一般財源に組み込まれる。ロードプライシング制度は国の財政確保の一部とされていることは、日本においてもおおいに考えるべきではないか思います。増税、増税と騒がれている現在で、タバコ税や発泡酒税、消費税引き上げなど騒がれていますが、ロードプライシング制度の課金収入など一般財源とし、よりよい日本をきずいてほしい。
7. 今後の課題
・総合的にロードプライシング制度の導入の是非を検討する。
8. 参考文献
1)http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/info/plan/t_yougo.htm
2)http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/kouhou/tokyo2002/honpen/main_7.html
3)http://tomita-tokyo.jp/news/17.html
4)http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/shou/index01_2.html
5)http://www.pref.oita.jp/keisatu/kkikaku/kik_gaikyou.htm
6)http://www.kouken.or.jp/airpol/taisaku/genin/index.html
7)http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/roadpricing/hokokusyo/hokoku3.htm
8)http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/roadpricing/hokokusyo/s9.htm
9)http://sowwwt.suac.ac.jp/~ miyakawa/m-leader/public/recture-p0403/text-040301.ht
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