節水はした方が良いのか

〜〜一般理念に立ち向かう〜〜

2009//15

国際英語学部 英米文化学科

K208083 吉川 貴紀

 

1節 テーマ設定・問題の背景

 

2節 研究目的

 

3節 概要

  ・節水とは

  ・節水が唱えられ始めた理由

 

4節 利点

 

5節 節水とダム

  ・概要

  ・貯水量と雨量

  ・貯水量と人による水使用量

 

6節 バーチャルウォーター

  ・概要

  ・例

 

7節 考察

 

8節 結論

 

9節 参考(文献・URL

 

 

 

 

 

 

 

1節 テーマ設定・問題の背景

 {テーマ設定の背景}

以下の三点

〈一点目〉とある国の大統領の「これから水不足が世界中に広まり、水を獲得するための戦争が発生する」という発言を受けて、ならば我々も節水をしなくてはいけないと思った事。

〈二点目〉日本は年間降水量が多い国と言われているのに、節水は必要なのかと疑問に思った事

〈三点目〉なぜ、「節水はした方が良い」と言われているのかという事。 

 

{問題の背景}

水を無駄にしてはいけないという観点から、節水はした方が良いとマスメディアを始め唱えられてきた。確かに節水による利点や我々にもできる(米のとぎ汁再利用)面がある一方、根本的に理不尽な点も存在している。

 

2節 研究目的

節水はした方が良いという世間一般理念に対して、本稿では節水はした方がよいのかを考察し、このレポートが読者にとって節水はした方が良いのかを考える判断材料となる事を目的とする。

 

3節 概要

@節水とは

節水とは、水を無駄にせず使用量を減らす事である。具体的には、水道水や工業用水などの使用量を削減する事である。一般家庭における節水方法として、風呂の残り湯を洗濯に使う方法や米のとぎ汁を植物の水やりに使う方法などがよく挙げられている。

 

A節水が唱えられ始めた理由

 節水が唱えられはじめた時代には、今と違って農業生産がもっと盛んに行われており、工業用水も必要だった。食糧増産と農業振興のために水を回そう、そのため生活用水はできるだけ節約しよう、という思想があったものと思われる。

 

4節 利点:経済面

@節水をすることでどれくらいお金の節約になるのかを、水道料金のグラフを使用して説明する

(以下に上水道(A)の料金グラフ){i}

 

 

 

(以下に下水道(B)のグラフ)

A)基本料金は、水道管のメーターの口径で決定されていて、一般家庭だと約20mmぐらいである。上水道のグラフからもわかるように、5立方メートルまでの使用量であれば、無料である。しかし、1001立方メートル以上使うと、1立方メートルあたり404円という料金がかかる。

 

(B) Aにプラスして下水料金が加算される。仮定は、使用した上水の量が下水の量と等しいという事である。

 

C)まとめ。

 50立方メートル使う家庭だと、上水・下水料金とを合わせて1立方メートルあたり372円かかる。

 

※1立方メートルは1KL(キロリットル)=1000Lに換算される。上記の場合、1000Lで372円ということは、1Lで約0.4円の節約となる。

 

A1秒節水をすると何L(リットル)水を節約できるのか?1L節水をするということはどういうことなのかを説明する。

{ii}

洗面・手洗い    1分間出しっぱなし       約12L

歯磨き       30秒出しっぱなし       約6L

食器洗い      5分間出しっぱなし       約60L

シャワー      3分間出しっぱなし       約36L

 

 (A)まとめ

 グラフからも読みとれるように、1秒間の節水により、200ml(0.2L)の節約につながる。つまり、5秒間の節水により1Lの水を節約することができる。(1)で述べた1立方メートル(1KL=1000L)節約するには、5000秒かかり、分に換算すると約83分間に値する。

 

 

5節 節水とダム

@概要

i)ダムとは簡単に言えば、洪水や水不足を防ぐためにある。メリットとしては、洪水・水不足を防ぐ、飲料水や工業用水の確保などが挙げられている。一方デメリットには、コストの問題や、自然改変などが挙げられている。

 

ii)現在、40,000以上のダムが世界人口約56億人の人々の生活向上に役立っている。しかし、15億人の人々が衛生的な飲料水を得る事が出来ずにいる。また、24カ国以上の国々が国民を維持するために足る水供給施設を持っていない。今日、10億人が栄養失調または飢餓状態にある。多くの国において、食糧増産は灌漑によってのみ可能であるが、その灌漑はしばしば減少しつつある地下水に依存している。従って、現在も多くのダムが必要とされている。

 

 Aダム貯水率と降水量                        

↓早明浦ダム上流域の月雨量グラフ            ↓早明浦ダム上流域の月雨量表{iv}

(本年(2005年)と平年の比較) {iii}            (本年(2005年)と平年の比較) 

http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/opt/taisetsu01/014.gif ※雨量の比率=46%

     

 

A)  上記の二つのグラフは共に、高知県にある早明浦ダムの月雨量を表したグラフと表である。右の表からも読み取れるように、早明浦ダムの2005年度の雨量(4月〜8月)は、平年の46%である。そして、6月と8月の月雨量は例年の約1/3程度である。

 

 

早明浦ダム貯水率 昭和50年から平成19年までの平年値貯水率データ

http://www.geocities.jp/sameura_dam/sameura_data/image3.gif              渇水・貯水率0%の記録{v}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B) 上記のグラフは早明浦ダムの貯水率を示したデータである。早明浦ダムにおいては、

平成の20年間で、H6年の7月24〜25日、H17年の8月19〜20日、9月1〜5日、

H20年の8月30〜9月20日の年計算で3回貯水率が0%台を記録した。ちなみに平年値は約80%前後である。(A)の表からもわかったように、H17年の8月は月雨量が少なかった。上記の

データからもわかるように、同年同月に貯水率0%を記録した。

 

http://www.tv-aichi.co.jp/blog/otenki/bkno_img/l/2005.jpgC↓宇連ダムの貯水率を表したデータ{vi}       ↓H17年度名古屋の降水量を示したグラフ{vii} 

     

 (D)4月〜6月にかけて、宇連ダム(豊川水域)では降水量が平年の3〜4割と少なく、宇連ダム の貯水率は7.7%にまで低下した。これは、過去最大の渇水となった平成6年を上回るペースで渇水が深刻化した。

 

B 貯水量と人による水使用量

 

水道の年間給水量と1日最大給水量の推移■水道の年間給水量と1日最大給水量の推移 {viii}          ↓宇連ダムの貯水率を表したデータ[ix]

 

 

A)左記のデータによると宇連ダム・早明浦ダムで貯水率0%台を記録した、H17年の水道の年間給水量は、左記の平成2・7・12・17・18の5年間の中では3番目である。また、H18年度の年間給水量は5年間の中ではH17年より低い数値であるが、宇連ダムのデータに限って言えば、約80%の貯水率が保たれていたことも読み取れる。

 

 

 

6節 バーチャルウォーター

 @概要

輸入食品の原水単位100g=1500l  バーチャルウォーターとは、食糧を輸入している国(消費国)において、もしその輸入を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであり、ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念である。また、「農産物の輸入によって日本の水が、○ℓ節約できた」とする考え方ともある。ちなみに2005年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は、約800億㎥である。(右記のデータは、輸入食品における日本における水使用量などを表した図である){x}

 

 

A例

 牛丼。牛を育てるには、飲み水や飼料用穀物を育てる水が必要だが、その量は牛乳100gにつき実に1500ℓである。(右記のデータはその他の例){xi}

 

 7節 考察

一般に節水をした方が良いと言われているだけあって、節水には利点があるが、一般的な理念に対しての疑問と理不尽さも存在する。6節でも述べたように、節水により約83分水の出しっぱなしをしなければ、372円節約できるなど、経済的に役立つ事が分かる。ただし、節水時間に見合っただけの金額かどうかは定かではないという点もある。また、7節において述べたダムの背景には「社会的にはダムをこれ以上増やさないため、水需要がこれ以上増えなければ良いと」という理由がある。私が考慮すると現在の水需要を維持するという解釈もなしえると考える。だとしたら、現在の水使用量が、ダムの貯水率に影響を及ぼす事はありえないのか。早明浦ダムと宇連ダムのデータを見る限りでは、雨量がダムの貯水率になんらかの影響を及ぼしていることは読み取れるが、両者が完全に相関関係にあるかは判断し難い。その理由は、人々の水使用量がダムの貯水率に多少なりとも影響している点も示唆できるからである。また、ダムの貯水率が0%になることもあるので、節水をした方が良いと言われているという解釈もありうると考える。しかし、平成の20年間で貯水率が0%になった確率は、年単位でみれば20%である。裏を返せば、80%は平年値を保っているという事である。平年値を保っていれば、節水をした方が良いかどうかは、経済・環境面の利点に対する、個々の価値観に判断を委ねる事ができる。だが、水不足の場合は人々の命に関わるという点で、節水は必要かもしれない。そもそも、「節水をした方が良い」と言われているが、8節でも挙げた、バーチャルウォーター(仮想水)を大量に輸入しているのは、理不尽な事である。日本は海外から食料を輸入することによって、自国の水を使わないですんでいるのである。(節約している)。

 

8節 結論

 4節の内容から金銭的に浮いたとしても微小なものであるし、5節よりダムも現在の状況(貯水量)で十分対応しうるので、しないよりはした方が良いかもしれないが、あえて頑張ってしなければならないわけではないと私は考える。

 

9節 参考(文献・URL・その他)

文献

◎「知っておきたい水のすべて」 石原 信次(2004) インデックス・コミュニケーションズ

URL

◎国土交通省水資源部HPhttp://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_acutual/acutual05.html

livedoorニュースー節水はエコではない?!:http://news.livedoor.com/article/detail/3794895/

・節水するのは何のため?(08//30)NIKKEI NET:

http://eco.nikkei.co.jp/column/ecowatching/article.aspx?id=MMECcd00002807200...

・水環境問題インタビュー/SAFETY JAPAN/日経BP社:http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/03/

・インフォメーションフォーアクション

. :http://www.informaction.org/cgi-bin/gPageMulti.pl?basepage=template01.html&main=jp_watersupply_form&language=japanese&encoding=utf8&letter=japanese_gen_was_pol&subject=%u7D66%u6C34%u306B%u3064%u3044%u3066

・節水の意味 市民のための環境学ガイド: http://www.yasuienv.net/SaveWater.htm

・雑学大学HP:http://www.kanda-zatsugaku.com/050715/050715.htm

・東京都水道局HP:http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/life/r_keisan.htm

◎・環境省HP : http://www.env.go.jp/water/virtual_water

◎・環境goohttp://eco.goo.ne.jp/life/futsugou/03.html

◎大切にしよう!四国の水みんなで考えよう四国の水:http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/opt/taisetsu01/taisetsu_01.html

◎早明浦ダム貯水率:http://www.geocities.jp/sameura_dam/sameura_data/sameura_heinen_data.html

環境教育・環境学習データベース ECO学習ライブラリー:

http://www.eeel.jp/teachers/kyozai/db_kekka2.php?kaisetsu=&category1_id=&category2_id=B043&category3_id=&contentstype=&target=&key=&cantents_id=25

社会法人日本水道協会HPhttp://www.jwwa.or.jp/shiryou

テレビ愛知 城田敦子のお天気玉手箱:http://www.tv-aichi.co.jp/blog/otenki/2005/06/

◎宇連ダム貯水量:http://www2.big.or.jp/~walk/ure/ureframe.html

その他

・東京都水道歴史館の節水相談ダイヤル

・名古屋市上下水道局の電話[i]

 



[i] 東京都水道局HP: http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/life/r_keisan.htm

Ii 「知っておきたい水のすべて」 石原 信次(2004) インデックス・コミュニケーションズ

Iii大切にしよう!四国の水みんなで: http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/opt/taisetsu01/taisetsu_01.html

iv iii

v早明浦ダム貯水率: http://www.geocities.jp/sameura_dam/sameura_data/sameura_heinen_data.html

vi宇連ダム貯水量:http://www2.big.or.jp/~walk/ure/ureframe.html

 viiテレビ愛知 城田敦子のお天気玉手箱http://www.tv-aichi.co.jp/blog/otenki/2005/06/

 viii社会法人日本水道協会HP http://www.jwwa.or.jp/shiryou

ix 同vi

x環境教育・環境学習データベース ECO学習ライブラリー:

http://www.eeel.jp/teachers/kyozai/db_kekka2.php?kaisetsu=&category1_id=&category2_id=B043&category3_id=&contentstype=&target=&key=&cantents_id=25

 

xi環境goo http://eco.goo.ne.jp/life/futsugou/03.html