タバコ問題

    喫煙・受動喫煙の健康被害に関する文献等を加えました。(2007年5月31日)

 

    タバコによる死亡は、WHOによれば世界中で年間500万人に上っており、日本

   でも、厚生労働省の研究班の約10年間の追跡調査(2008年)の結果、年間20万

   人(男性16万3千人、女性3万3千人)が喫煙で命を落としていることが分かりまし

   た。 2008年の道路交通事故死者数は5,155人で、喫煙による死者数は、実にそ

   の約40倍にもなっています。

    先進国においては、タバコは、予防できる早死の第1の原因です。

    「医師とたばこ」(文献2)では、タバコの特殊性を、次のように述べています。

 

    「たばこは特殊な商品である。たばこの煙には、何千種類もの化学物質が含ま

   れ、その多くは既知の毒物であり、いくつかは血管に障害を与えることが知られ

   ている。その結果、全身に影響を及ぼす可能性がある。

    病気、身体障害、早死といったたばこによる害の大きさを別にしても、たばこは、

    以下の理由で特殊である。

   ●他の有害物質は、多量に摂取したり、乱用したりしたときに危険性が生じるが、

   たばこは少量であっても有害である

   ●依存性が強い喫煙者が多い

   ●たばこ産業は世界的に最大最強の産業の一つで、しばしば節操のないやり方

   で、積極的にたばこを宣伝している

   ●喫煙者本人だけでなく、煙にさらされる周囲の人にも害がある

    これらの特徴が物語るように、たばこは公衆衛生上非常に難しい問題となって

   おり、政治的行動を含めたさまざま広範な角度から緊急策が求められているの

   である。」(p8-9)

    日本の場合には、国によるタバコの専売制を長く取っていたため、現在でもタ

   バコ販売に対する国の関与が大きく、それが日本のタバコ対策を大きく遅らせる

   原因となっています。政官業がスクラムを組んで、がっちりとタバコを守っている

   現状を皆が知って、それを強く批判していかない限り、タバコ問題の根本的な解

   決はできません。

             

    日本のタバコ対策の問題点   日本のタバコ    タバコ会社の戦略 

    タバコによる社会的損害   喫煙者の死亡、喫煙・受動喫煙の害   文献

    受動喫煙で肺がんになった女性の、タールで汚れた肺の写真


  ■ 日本のタバコ対策の問題点

    日本ではタバコ自動販売機が街にあふれています。このような国は、少なくとも

   先進国では日本しかありません。自動販売機の普及数は1995年で、約50万台、

   売上金額は約1兆5千億円(たばこ総販売金額の約40%)です。

    そして、中学高校生の現在喫煙者の約7割が、自動販売機でタバコを買ってい

   ます。未成年者喫煙禁止法で、タバコ販売者に、販売する際に客の年齢確認を

   することを義務付けました(2001年12月)が、相変わらず未成年者が自動販売機

   でタバコを購入しています。自動販売機については、深夜時間帯(23時から5時)

   の販売自主規制があるものの、ほとんど役にたっていません。このような自動販

   売機を野放しにしていては、未成年者喫煙禁止法は、「ざる法」だといわざるを得

   ません。

    また、雑誌や列車の中吊り広告、ビルの巨大看板など、街のいたる所にタバコ

   広告があります。先進国では、タバコ広告を全面禁止する国が増えています。そ

   のような国に行くと、初めて日本の「異常さ」が分かります。

    タバコの値段は、先進国の中では最低ランクで、 欧米諸国の半額くらいにしか

   なりません。WHOが、タバコの低価格に関して日本を名指しで非難し、タバコ消

   費を減らすためにタバコの増税をすべきだと勧告しているほどです。

    タバコの警告表示も、外国では、具体的にタバコによって起こる病気の名前を

   示すなど、害について強い警告をしています。また、カナダに始まった写真入りの

   警告表示が、他の国々に広がっています。これに対し、日本の警告表示は、警告

   になっていないと、海外の反たばこ団体から0点の評価を付けられています。

    最後に、学校や医療機関の禁煙は、先進国では以前から「常識」となっています

   が、日本では、やっと進み始めたところです。

    受動喫煙の防止について定めた健康増進法が施行された(2002年5月)ので、

   学校、医療機関を始めとする公共の場所の禁煙など、上記の問題を解決するよ

   うな対策が積極的に取られることを期待します。

 

 

  ■ 日本のタバコ

   ○ たばこ農家

    日本には約2万3千戸のたばこ農家があります。

    葉たばこの生産量(1997年)の多い県(上位10県)は、岩手、福島、熊本、宮崎、

   青森、鹿児島、茨城、新潟、沖縄、大分でした。

    日本では、葉たばこは、他の農産物と異なり、最初から買取価格が決められて

   います。安定的な収入が得られるため、葉たばこの生産は、なかなか減りません。

   「新版 喫煙と健康」のデータでも、葉たばこは作付面積、収穫量ともに横ばいの

   状態を示しています。また、JT(日本たばこ産業株式会社)は、たばこ耕作者団体

   との協議で、今後のたばこ耕作面積は30,600haを上限とし25,000haを下限とする

   「安定面積帯」のなかで、たばこ耕作農家の実態に応じたものとする、今後は強制

   減反は行わない、と合意しています。

    日本では、近年、産業構造改革の必要性が叫べばれています。たとえば、土木

   建築業、そして、このタバコ産業。早く他の分野に人と資本を移転すべきなのです

   が、どうしていつまでも変わらないのでしょうか?

                           (数値等は「新版 喫煙と健康」による。)

 

   ○ タバコの流通

    タバコ小売店の数は、302,000店(1999年)で、年々3,000店近く増加しています。

   1998年度には、「コンビニエンスストア」での販売増加のため、1万店の新規出店

   がありました。小売販売業許可に関する規制緩和のため、販売店が急激に増え

   ているのです。こんなにタバコ店があふれている国を、他の先進国で探すことは

   できないでしょう。 (カナダのモントリオール市内では、鉄道と地下鉄駅の売店以

   外では、タバコを売る店を見かけませんでした。) 

    自動販売機は、1995年には498,800台でした。2002年には、もっと増えているは

   ずです。まさに、「犬も歩けば、自販機に当る」状態です。

    なお、1995年の売上金額は1兆5,286億円で、総販売額の約40%でした。新聞

   記事に、最近では自販機での売上が全体の6割にもなると書いてありましたが、

   そんなに増えたのでしょうか。

    次に、JT(日本たばこ産業株式会社)の海外でのタバコ事業は年々拡大してい

   ます。1994年では、189億本、670億円、これが1999年では、買収したRJRレイノ

   ルズの5-12月分の実績を含んで、1,203億本、3,790億円になりました。

    また、外国タバコの国内販売量は年々増加しており、1999年では国内総販売数

   量の約4分の1を占めるほどになっています。外国のタバコの販売量増加と未成

   年や若者、女性の喫煙率増加が重なりました。

                           (数値等は「新版 喫煙と健康」による。)

   

   ○ 紙巻タバコの生産量

    世界の紙巻たばこの生産量は、1994年で5兆4,400億本です。日本の生産量は、

   中国(43.3%)、アメリカ合衆国(18.5%)に次いで、第3位(7.4%)となっています。

    ちなみに、第4位はドイツ(5.4%)、第5位はブラジル(4.5%)です。

    世界におけるたばこの生産では、中国の「中国たばこ総公社」を除いて、「日本

   たばこ産業株式会社」は、「フィッリップ・モーリス社」、「BAT社」に次いで、第3位

   (1999年)を占めています。

    私もこの本(「新版 喫煙と健康」)を読むまでは、日本の生産量が世界第3位だ

   などとは、夢にも思いませんでした。なるほど、タバコ対策が遅れたわけだ。

    「健康日本21」の成人喫煙率の半減案が、業界などの圧力で、最後の最後に

   取り消しになったのは、記憶に新しいところです。というか、もうずいぶん前のこと

   になりましたが、あまりに腹立たしいので、まったく忘れることができません。

    ちなみに、聞くところによると、ドイツも国内のタバコ産業が強くて、タバコ広告の

   規制案などに圧力をかけてつぶしたりしているそうです。

    ところで、米国は、タバコ規制の先頭グループにいますが、生産量は世界の5分

   の1近くを占めているのです。そのためか、WHOの世界的なタバコ規制に対して

   は、かなり反対しているそうです。自国民がタバコで死ぬのは困るが、よその国の

   人にタバコを吸ってもらって外貨を稼ぐのはOKというわけですか。困った考えです

   が、なるほど、自国の利益を追求するという点では一貫しています。

    しかし、世界の人が、そういう米国のやり方を知ったらどう思うでしょうね。

    中国の生産量が世界の半分近くに当るというのはスゴイ。喫煙者も世界の3割

   だとか。国土が広い、人口が多いというのが基本にあるのでしょうが、それにして

   も「タバコ漬け」のスゴさに、驚きのあまり言葉がありません。

                            (数値等は「新版 喫煙と健康」による。)

    

    ところで、2002年7月の新聞記事で、JTが国内の25ある工場のうち、8工場で、

   2005年3月までに段階的に生産を中止し、工場を閉鎖すると発表したことが分かり

   ました。これは、たばこ需要の減少に対応するもので、2003年3月が仙台、名古屋、

   橋本(和歌山県)、2004年3月が広島、府中(広島県)、松山、那覇、そして2005年3

   月が上田です。

 

   ○ 日本たばこ産業(JT)

    1984年8月に「たばこ事業法」と「日本たばこ産業株式会社法」が制定され、それ

   までの「たばこ専売制」が廃止されました。

    しかし、1985年に民営化されたJTは、実際には民間企業ではなく、いわゆる特

   殊法人の位置付けにあります。葉たばこの買い付けとたばこ製造を独占をしてお

   り、また財務省が株式の多くを所有するなど、「専売公社」の時代と状況が変わっ

   ていません。以前より大々的に宣伝をするようになった分だけ、以前よりも悪いと

   いう意見があるくらいです。

    2001年にJT会長に就任した小川 是 氏は、大蔵省(現財務省)の事務方のトッ

   プである事務次官に上り詰めた人です。 JTと財務省の強い関連が分かります。

 

   ○ たばこ事業法

    たばこ事業法は、第1条にその目的を示しています。

    「この法律は、<中略> 我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政

   収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする」

    また、たばこ事業法では、たばこと健康との関係についての注意表示を財務省

   令で規定する、たばこの広告についても財務大臣の指示に従うなど、たばこ事業

   を徹底的に財務大臣の管轄下に置くものです。

  

   ○ 財務省 

    JTの株数の3分の2を保有。 たばこ事業法改正により、保有株式の2分の1に

   まで減らせることになりました。それを受けて、2002年度中に株式の6分の1を売

   却し、2分の1にする予定でしたが、不景気を理由に実行されませんでした。

    タバコを値上げすると株価が下がるという意見がありますが、税金だけでなく本

   体価格も値上げし、小売値を500円程度にまで上げれば、たとえ消費量が2〜3

   割程度減少しても、タバコ会社の増収になるので、短期的には株価も下がらない

   と思われます。 (タバコ消費削減の観点からは、早く1箱1000円くらいまで値上

   げをすべきですが。)

    したがって、このような措置をした上で、財務省の保有株式を早い段階にすべて

   売却すべきです。そして、タバコの管轄を、財務省から厚生労働省の管轄に移す

   ことが必要です。

 

   ○ 政治家

    2001年にタバコ値上げ案が出された際に、タバコ小売業者が値上げ反対の集会

   をしましたが、その際に、衆議院と参議院を合わせて752人の国会議員のうち、代

   理も含めて238人の議員が、その集会に参加して、値上げに反対しました。 実に、

   国会議員の3分の1近くがタバコ業界の味方をしている計算になります。

    しかし、2002年には国会の中に、「禁煙議員連盟」(「タバコ対策」のページ参照)

   が出来て、タバコ対策に乗り出したので、少し風向きが変わってきました。

    なお、「禁煙議員連盟」の小宮山洋子議員も、「財務省はタバコ関係のすべてを

   所管していますが、財務省の関心は税収であり、国民の健康を守ることではあり

   ません」と問題点を指摘しています。  

 

  ■ タバコ会社の戦略

  ○ タバコ自体

   ・フィルター

    フィルターを通して吸うことにより、有害物質をある程度減らすことができます。

    受動喫煙の問題で、タバコの先から出る「副流煙」は、吸い口からの「主流煙」よ

   りも多量の有害物質を含むといわれるのは、このためです。

    しかし、これによってタバコの害を減らせるものではありません。

    タバコのフィルターは、過去に「タバコが病気を起こす危険性がある」という研究

   が発表された際に、消費者がタバコを吸わなくなるのを恐れた会社が考え出した

   戦略に過ぎません。

    BBCの「タバコ戦争」によれば、タバコ会社は、フィルターが実際にどの程度病

   気を防ぐかは問題ではない、問題なのは、消費者がフィルターによってタバコを安

   心な商品だと思うかどうかだ、と考えていました。

    残念ながら、結果的には、消費者はフィルターにだまされ、タバコを益々吸うよう

   になりました。

 

   ・ライト戦略

    やはり、タバコによる健康被害を心配する消費者をなんとかつなぎとめようとし

   たのが、ライト戦略です。

    まず、商品名に「マイルド」とか「ライト」を付けて、その分、いく分でも体に良さそう

   な印象を与える方法があります。しかし、これについては、2003年9月からEU(欧

   州連合)では、消費者に誤解を与えるという理由で、「マイルド」や「ライト」の文字

   の使用を禁止することが決まっています。この決定は、日本の消費者にも少なか

   らず影響を与えることでしょう。

    次に、タールとニコチンの量を減らしたと宣伝して、いかにも害が少ないかのよ

   うな印象を与えてタバコを買わせようという方法です。しかし、タバコ会社は、単に、

   軽いタバコを求める消費者の嗜好に合わせただけで、軽いタバコは害が少ないと

   いう宣伝はしていないと主張しています(米国の低タールタバコに対する被害の裁

   判、2002)。

    低タール、低ニコチンの戦略に惑わされないためには、知っておくべき2つのこと

   がああります。

    まず、タバコ会社による表示はタバコを自然に燃焼させたものであり、人が実際

   にタバコを吸う場合とは異なります。実際に吸う場合に近い状態で計ったもの(実

   際値)が、厚生労働省のホームページに示されていますが、 実際値は、表示値に

   比べて2〜5倍程度大きい値となるようです。

    つまり、低タール、低ニコチンといって売られているタバコは、タバコ自体のター

   ルやニコチンの値が低くなるよりも、むしろフィルターに穴をたくさん空けることによ

   り、空気がたくさん入って測定値が低くなるようにした部分が大きいのです。 この

   点についても、「タバコ戦争」の中でタバコ会社の社員が、「これは全くのごまかし

   だ」と認めています。

    第2に、1回に吸い込むニコチンの量が少ないとしても、人は無意識に、今までと

   同じ程度のニコチンを体に入れようとして、タバコを根元まで吸ったりするので、結

   局は有害な物質を同じ分量だけ体に入れてしまいます。また、肺の奥に煙を深く

   吸い込むことによって、肺気腫を起こしやすくなるなど、かえって多くの害を生むと

   もいわれています。

 

  ○ 宣伝

   ・若者をターゲットにする戦略

    タバコ産業は、日本、及び世界中で、スポーツ、冒険、レースなどの、健康的なイ

   メージ、刺激的で勇敢なイメージ、そしてかっこいいというイメージを与えるようなイ

   ベントや、その他の、たくさんの若者が集まるイベントのスポンサー活動を熱心に

   行い、青少年の喫煙者を開拓しようと力をそそいでいます。また、キャメルのキャラ

   クターのように低年齢層の子どもたちにタバコに関心を持たせようとする戦略もあ

   ります。

    WHOは、このような未成年や若者をターゲットとした活動を批判していますが、

   タバコ会社は、「未成年の喫煙を減らすキャンペーン」を通して、逆にタバコを宣伝

   するなど、きわめて狡猾になっています。

    日本で行われている「たばこは20歳になってから」という未成年の喫煙防止キャ

   ンペーンに対しても、「大人はたばこを吸う」というイメージを与えて、かえって喫煙

   に対する興味を持たせるのでやめるべきだという意見が出されています。

    米国の研究では、「タバコは大人になってから」という宣伝によって、子どもがタバ

   コにかえって興味を持つという結果が分かりました。

 

    愛知県の先生からの「学校の禁煙」を求める投書が、中日新聞に掲載されました

   (2002.3)。 こちら をご覧ください。 「たばこは二十歳になったら」というポスター

   が学校に貼ってあるという、恐ろしい話が書いてあります。

    2002年度は、ポスターの言葉が、「未成年に喫煙は法律で禁じられています」に

   変わったそうですが、そのポスターは日本たばこ協会がつくったもので、後援に文

   部科学省が名を連らねています。

    文面が変わっても、本質的に「たばこは二十歳になったら」と同じで、未成年の喫

   煙防止に名を借りたタバコの宣伝であることに変わりがありません。 上述のように

   WHOはこのような巧妙な宣伝活動を、「極めて悪質である」と非難しています。 文

   部科学省までが、それに乗せられているというのは、大変情けない話です。

    タバコ企業関係のポスターなどは、結局はタバコの宣伝ですので、学校からすべ

   て排除するように、お願い致します。

    下の画像は、(社)日本たばこ協会による、2004年と2007年の未成年者禁煙

   防止キャンペーンのポスターです。  後援には、内閣府、警察庁、財務省、文部科

   学省、厚生労働省、及び(社)青少年育成国民会議が、全国たばこ販売協同組合

   連合会といっしょに名前を連ねています。 これも、タバコ業界による、未成年の喫

   煙防止キャンペーンの名を借りたタバコキャンペーンにほかなりません。 国の官庁

   が、タバコ業界のインチキ・キャンペーンにころっとだまされて、タバコの宣伝に手を

   貸しているという構図です。

    (「統計・論文」のページのアメリカの論文をご覧ください。)

    「たばこ規制枠組条約」が2005年2月27日に発効したので、これ以降は、タバ

   コ対策の検討の際にタバコ業界関係者を入れることは条約違反になっています。

   同様に、タバコ業界のキャンペーンを国の官庁が後援するといったことも条約違反

   です。 みなさん、そのようなことが起きないよう、しっかり注意をしましょう。

2004年のポスター

 

         2007年のポスター

 

    未成年の喫煙防止を本気で考えるなら、タバコ業界は、まずタバコ自動販売機を

   全廃すべきです。 また、コンビニなどでの年齢確認を徹底させ、もしも未成年にタ

   バコを販売した場合には、その店のタバコ販売を中止させるなどの措置を取ること

   とにしてはどうか。 やるなら、「未成年の喫煙防止」のインチキ・キャンペーンなど

   をしないで、きちんと実効の上がることをすべきです。

 

 

 

 

 2009年のポスター

 

 社団法人 日本たばこ協会の名前

 

 うれしいことに、2008年まで後援に名を連ねていた、内閣府、警察庁、財務省、

文部科学省、厚生労働省の名前がなくなりました。

 

   ・女性をターゲットにする戦略

    WHOが指摘するように、タバコ産業は女性を新しいマーケットと考え、女性にねら

   いを定めた宣伝を強化しています。

    すらりとしたモデルを使って、タバコと「いいスタイル」を結びつけようとしています。

   また、仕事をする「自立した女性」は男性のようにタバコを吸うという、不適切なイメ

   ージを植え付けようとしています。

 

  ■ タバコによる社会的損害

    国立がんセンターの後藤公彦氏の試算によるタバコの社会的損害(文献4)を紹

   介します。

    タバコ産業の社会コストは、5兆6千億円で、タバコ産業の経済メリットは、2兆8

   千億円。差し引き、2兆8千億円の損失だそうです。

 

   ・タバコ産業の社会コスト


 医療費

 損失国民所得 

 休業損失

 消防・清掃費用    

  3兆2千億円

  2兆    円

     2千億円

     2千億円


 合  計       

  5兆6千億円 

 

    「医療費」は、タバコ病によって生じる超過分の医療費を示しています。

    「損失国民所得」は、本人の死亡によって収入が得られなくなった分の所得です。

    「休業損失」は、同じく、働けなくなったために得られなかった分の賃金です。

    「消防・清掃費用」は、タバコによる火災の被害や、清掃にかかる費用が含まれ

   ます。

 

   ・タバコ産業の経済メリット


 タバコ税

 タバコ産業賃金 

 タバコ産業内部保留 

 他産業賃金      

 他産業利益等    

  1兆9千億円

    1,900億円

    1,600億円

    1,700億円

    3,300億円 


 合  計       

  2兆8千億円  

 

    「タバコ税」は、国税と地方税に分かれます。

    後日、説明を追加します。

 

    この本には、次のような内容の説明があります。

    「年間約3兆円の損失なので、それを年間のタバコ売上本数である3,000億本で

   割ると10円になる。つまり、1本当り10円、20本入りのタバコでは1箱当り200円の

   損失になる。そこから、タバコの適正価格は600円くらいということがいえる。」

    しかし、2002年では、タバコ1箱の値段は260円(250〜280円くらい)です。280円

   に200円を足しても480円にしかなりません。

    経済メリットが上回るべきという考えか、売上本数の減少を見込んでいるのか、

   原文にあたっていないので分かりませんが、たぶん後者ではないかと思います。

 

    いずれにせよ、タバコ産業は、経済メリットよりも社会コストが大きい、国として割

   の合わない産業だということです。

    財務省も、いつまでもタバコ税の税収確保のことしか頭にないようでは、いずれ、

   国民の健康被害を引き起こす元になったとして、「不作為の罪」(果たすべき責任

   があったのにそれを果たさなかった)に問われる日が来るに決まっています。

  

  ■ 喫煙者の死亡、喫煙・受動喫煙の害

    タバコの害については「喫煙防止教育」のページに詳しく示しました。ここでは、喫

   煙と肺がんの関係を最初に発見した英国の疫学者、リチャード・ドール氏の言葉を

   紹介して、まとめに代えます。

          「喫煙者の半分は、タバコ関連疾患で死亡します。        

           そして喫煙者の4分の1は、中年で死亡します。」 

     補足:喫煙・受動喫煙の害については、文献5、文献6もご参照いただきたい。 

   また、WHOのホームページ(文献7)もご参照いただきたい。 

     受動喫煙で肺がんになった女性の、タールで汚れた肺の写真は こちら です。  

 

  ■ 文献等

   1) 喫煙と健康問題に関する検討会:「新版 喫煙と健康 喫煙と健康問題に関す

    る検討会報告書」、保健同人社、2002 

    (厚生労働省健康局長の要請により喫煙と健康問題に関する報告書の取りまと

    めを行ったものである。)

   2) デビット・シンプソン著(日本医師会訳):「医師とたばこ 医師・医師会は何をな

    すべきか」、タバコ コントロール リソースセンター、2002

     国際タバコと健康研究所所長のデビット・シンプソンが、イギリス医師会内に設

    置された「タバコ コントロール リソースセンター」から出版した著書。 日本で

    は、日本医師会が訳本を作って、日本医師会ホームページの禁煙キャンペーン

    のページに載せています。

   3) 伊佐山芳郎:「現代たばこ戦争」、岩波書店、1999

   4) 後藤公彦:「環境経済学概論」、5.経済・不経済の判定事例、p24-41、朝倉

    書店、1998

   5) Tobacco Free * Japan (タバコ フリー ジャパン):ニッポンの「たばこ政策」

    への提言、2005  http://www.tobaccofree.jp/index.html

     Tobacco Free * Japan は、たばこ規制枠組条約後のたばこ政策の発展のた

    め、日米の専門家と保健医療界のオピニオンリーダーが明白な科学的根拠に基

    づいた政策提言を目的として結集したプロジェクトです。

     プロジェクトには「日米共同刊行委員会」として9名の諮問委員と18名の執筆者

    が参画し、うち3名が編集委員として報告書をとりまとめました。

   6) 加濃正人編、松崎道幸・渡辺文学監修:タバコ病辞典 吸う人も吸わない人も

    危ない、実践社、2004

   7) WHOホームページ

    WHO − Tobacco Free Initiative (TFI)

     http://www.who.int/tobacco/en/

    WHO − WHO Framework Convention on Tobacco Control (FCTC)

           WHO たばこ規制枠組条約

     http://www.who.int/tobacco/framework/en/

 

 

 


 

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