日本ロールシャッハ学会第27回大会

プログラム概要

1)ワークショップ 4コース 12月2日(土)10:00-12:30

A)青木佐奈枝(立正大学):「心的外傷を抱える人の支援につながるアセスメント」 (参加募集を締め切りました)

心的外傷を抱える人は、DSMやICD等の診断基準にある心的外傷性症状以外にも様々な症状や問題を抱え、日常を生きている。心的外傷性障害に関する様々な治療法やアセスメントが開発されているが、それを型通りに行えば回復に導けるというものでもない。本ワークショップでは、心的外傷性症状や障害を有する人々の支援や治療、そして、そのためのアセスメントについて包括的に考えていきたい。この領域におけるロールシャッハ法の役割についても併せて検討する。

B)糸井岳史(路地裏発達支援オフィス):「ウェクスラー式知能検査による大人の発達障害事例の検討 -知能検査では何がわかり、何がわからないのか」

発達障害の心理アセスメントでは、ウェクスラー式知能検査が活用されることが一般的になっています。しかし知能検査では、「社会性の障害」をはじめとする発達障害の中核的な特性のアセスメントは困難です。にもかかわらず、私たちはなぜウェクスラー式知能検査を使い続けているのでしょうか。知能検査では何がわかり、何がわからないのでしょうか。そして、わからないことについては、どのような視点を持ちながら心理アセスメントをすればよいのでしょうか。これらについて、事例検討を通して学び合いたいと思います。

C)関山徹(鹿児島大学):「物語類型と関係相から読み解くTAT」

TAT(主題統覚検査)は、習熟すれば語り手が生きる世界をありありと追体験できる一方で、その解釈は主観的になりやすく難しい、というイメージもあります。本ワークショップでは、鈴木睦夫(1997, 2012)に依拠しながら、①各カードにおける物語類型の出現頻度をふまえて個々の反応の意味を汲みとる観点と、②登場人物間の関わりのパターンを構造的にとらえていく関係相の観点をとりあげて解釈の基本方略を紹介し、豊かでバランスのよいTAT解釈を目指していきます。

D)馬場史津(中京大学):「描画テストの解釈と所見 -描画を言葉に翻訳する営み」 (参加募集を締め切りました)

描画テストは実施が簡便で取り組みやすい検査です。しかしいざ解釈をして所見を書こうとすると難しい検査でもあります。その背景には描画テストのgraphic communicationの特徴があります。今回のワークショップでは、描画テストにおける非言語的情報を言語化しながら理解する作業について、特に描画指標をまとめながら言葉を選び所見を作成するプロセスについて、実際の事例を通してみなさんと検討する機会にしたいと思います。

事例募集:描画テストの種類は問いません。1回または複数回の描画テストを実施し、心理療法へとつなげた事例を募集します。

事例募集 ※締め切りました

※コースBとDでは事例を募集します。事例提供を希望される方は、事例概要(様式は任意)を9月29日(金)までにメール(jsrpm2023@gmail.com ※@を半角に置き換えてください。)にてご提出ください。なお、事例応募が多数になった場合は担当講師と相談のうえ決定いたします。

2)研究発表(口頭:一般・事例/ポスター) 12月2日(土)13:00-17:10

  • 口頭発表  一般研究・事例研究 14:00-17:10
  • ポスター発表  13:00-17:10
若手研究奨励賞

投映法研究の発展を目的として、第27回大会ではロールシャッハ学会研究助成委員会とのコラボレーションのもと「若手研究奨励賞」を企画します。40歳未満の若手研究者・臨床家による一般研究、事例研究、ポスター研究を対象に発表抄録の審査を行い、それぞれの研究から1名を表彰します。

3)実行委員会企画シンポジウム 12月2日(土)17:20-18:50

テーマ「投映法のパイオニアから学んだこと」

話題提供:
「片口安史先生」 藤岡新治(専修大学名誉教授)
「空井健三先生」 大矢寿美子(金沢工業大学)
「鈴木睦夫先生」 石井明子(中京大学)
指定討論:
八尋華那雄(中京大学名誉教授)
司  会:
明翫光宜(中京大学)

4)若手シンポジウム 12月3日(日)10:00-11:30

テーマ「投映法研究の予想図 ーこれからの100年に向けた若手研究者の声」

話題提供:
石井佳葉(就実大学)
鈴木千晴(立命館大学)
松田凌(愛知東邦大学)
指定討論:
石橋正浩(大阪教育大学)
司  会:
馬場史津(中京大学)
若手研究者の紹介

石井佳葉(就実大学)
博士(教育学)。就実大学教育学部講師。京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程を単位取得退学後、京都文教大学臨床心理学部特任講師、就実大学教育学部助教を経て、現職に至る。研究テーマはロールシャッハ法におけるイメージカード選択の臨床的活用について。主な論文に、『ロールシャッハ法における父親・母親イメージカード選択を通した多層的理解:発症初期の摂食障害女性を対象とした検討』ロールシャッハ法研究,24,1-15. 主な著書に、『ライフサイクルを臨床的に理解する心理アセスメント』(分担執筆、金子書房)、『精神分析臨床での失敗から学ぶーその実践プロセスと中断ケースの検討』(分担執筆、岩崎学術出版社)。

鈴木千晴(立命館大学)
2017年奈良女子大学大学院人間文化研究科修了。博士(学術)。ECC国際外語専門学校大学編入コース専任講師・主任を経て、2021年7月より現職(立命館大学総合心理学部特任助教)。
主に認知課題遂行中の脳波(事象関連電位:ERP)を用いた研究を行っている。博士論文である『ロールシャッハ・テストの色彩反応と情動制御についての実験的検討:神経生理学的指標を用いて』(未公刊)では色彩反応の様態に着目し、ロ・テスト指標の個人差とERPとを比較することで、テスト上の個人差が生ずるメカニズムの認知的・神経心理学的記述を試みた。現在は、ロ・テストをあいまい知覚現象の一つとして捉え直し、その知覚現象としての複雑で豊かな固有の側面について、実験的アプローチに加え、人文学的視座からの検討をも試みている最中である。

松田凌(愛知東邦大学)
2020年中京大学大学院心理学研究科修了。博士(心理学)。中京大学心理学部任期制講師を経て、2022年4月より現職(愛知東邦大学人間健康学部助教)。
ロールシャッハ法に関わる研究としては、認知心理学的なアプローチを用いた妥当性検討に取り組んでいる。代表的な研究成果としては、情動ストループ課題を用いた『ロールシャッハ・テストの色彩反応と情動刺激によるストループ干渉の関連』(ロールシャッハ法研究,2018)や、IATを用いた『Multiple emotion regulation in Rorschach color responses: A study using IAT and self-report.』(Rorschachiana,2019)などがあり、博士論文ではロールシャッハ上の色彩の処理と情動制御プロセスの関連について検討を行った。また基礎研究の臨床実践への応用について関心があり、とりわけ注意機能の個人差から両者の接点を探っている。

5)総会 12月3日(日)12:30-13:20

6)特別講演 12月3日(日)13:30-14:30

演題「R-PASの概要と課題 ー包括システムのreplacementとして」

講演者:
井上直美(弘前大学)
司 会:
馬場史津(中京大学)

7)シンポジウム 12月3日(日)14:40-17:00

テーマ「ロールシャッハ・テストの解釈とフィードバック ー何を伝えるのか」

話題提供:
服部信太郎(岐阜病院)
吉村聡(上智大学)
井上直美(弘前大学)
指定討論:
高瀬由嗣(明治大学)
司  会:
明翫光宜(中京大学)
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