ユークリッドの互除法

解説

  • 1058と943の最大公約数は、1058 ÷ 943 = 1 余り 115だから、943と115の最大公約数に等しい。
  • 943と115の最大公約数は、943 ÷ 115 = 8 余り 23だから、115と23の最大公約数に等しい。
  • 115と23の最大公約数は、115 ÷ 23 = 5 余り 0 だから、115と23の最大公約数は、23である。
  • すると、943と115の最大公約数、1058と943の最大公約数は、23である。
  • また、943/1058は、最大公約数23で約分すると、41/46である。

証明

  • a, b を正の整数 (a > b) とし、aをbで割った商をq, 余りをr とする。
  • a = bq + r だから、bとrの公約数は、aの約数である。
    • よって、bとrの公約数は、aとbの公約数でもある。・・・ (1)
  • r = a - bqであるから、aとbの公約数は、rの約数である。
    • よって、aとbの公約数は、bとrの公約数でもある。・・・ (2)
  • (1)、(2)より、次のことが成り立つ
    • aとbの最大公約数は、bとrの最大公約数に一致する。
  • a, b を正の整数 (a > b) とし、aをbで割った商をq, 余りをr とする。
  • a = bq + r だから、bとrの公約数は、aの約数である。 (bとrを割ることができるから、その数をmとするとa = m(b/m*q + r/m)とできる。b/m, r/mは整数である)
  • よって、bとrの公約数は、aとbの公約数でもある。 (mは、bを割れる(rを割れる)。さらにaも割れる、ということで、どんなmも、aとbの公約数。ただし、aとbの公約数でも、bとrの公約数ではないものもあるかもしれない) ・・・ (1)
  • r = a - bqであるから、aとbの公約数は、rの約数である。(aとbを割ることができるから、その数をnとすると、r = n(a/n - b/n*q)とできる。a/n, b/nは整数である)
  • よって、aとbの公約数は、bとrの公約数でもある。(nは、bを割れる(aを割れる)。さらにrも割れるということで、どんなnもbとrの公約数。ただし、bとrの公約数でも、aとbの公約数ではないものもあるかもしれない) ・・・ (2)
  • (1),(2)より、次のことが成り立つ (両方成り立つということは、aとbの約数全体とbとrの約数全体はぴったり一致する。だから)
  • aとbの最大公約数は、bとrの最大公約数に一致する。

引き算でも求めることができる

  • aとbの公約数をkとする。すると、a=k*a', b=k*b' (a', b'は整数)
  • a-b = k'('a-b') だから、aとbの公約数kは、bとa-bの公約数kである。
  • a-bとbの公約数をdとする。すると、a-b = dc, b=db' (c, b'は整数)
  • a = a - b + b = dc + db' = d(c + b') だから、a-bとbの公約数は、aの公約数である。
  • よって、aとbの公約数全体は、a-bとbの公約数全体に、ぴったり一致する。だから
  • aとbの最大公約数は、a-bとbの最大公約数である。
  • 876と204 の最大公約数は、いくつか。
    • 876 > 204だから、a = 876, b=204とすると、
    • a - b = 672, a=672, b=204 とすると、
    • a - b = 468, a=468, b =204とすると、
    • a - b = 264, a=264, b= 204とすると、
    • a - b = 60, a = 204, b = 60 (元のbをaに、引き算結果はbに、入れ替えになる)とすると、
    • a - b = 144, a=144, b= 60 とすると
    • a - b = 44, a=60, b = 44 (入れ替え)
    • a - b = 36, a=36, a =24 (入れ替え)
    • a - b = 12, a=24, b = 12 (入れ替え)
    • a - b = 12, a=12, b = 12 (共通の約数は1しかない。停止)

不定方程式

[解答]
  • 12と41の最大公約数を求める。
    • 41 = 12 * 3 + 5 (2)
    • 12 = 5 * 2 + 2 (3)
    • 5 = 2 * 2 + 1 (4)
    • 2 = 1 * 1 + 1
    • 1 = 1 * 1 + 0  従って、最大公約数は1である。
  • この式を逆に辿ってみる。
    • 1 = 5-2*2 (4)’
    • 2 = 12 - 5*2 (3)’
    • (3)’を(4)’に代入すると、1 = 5 - (12-5*2)*2
      • 1 = 5*5 - 12*2 (5)
    • 5 = 41 - 12 *3  (2)’
    • (2)’を(5)に代入すると、1 = (41 - 12*3)*5 - 12*2
      • 1 = 41 * 5 - 12 *17
      • 12 * (-17) + 41 * 5 = 1
  • 3倍すると、
    • 12 * (-51) + 41 * 15 = 3 (6)
  • (1) -  (6)
    • 12(x +51 ) - 41(y+15) = 0
    • 12 (x + 51) = 41 (y +15)
  • 12と41は、互いに素だから、kを整数とすると
    • x + 51 = 41k, y +15 = 12k
    • xとyが正の数で、yが最小の整数になるには、k=2のときで、y =9である。