研究テーマ

人間共生ロボティクス研究室の主な研究テーマです。
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実車ドライブシミュレータ
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実車ドライブシミュレータでの運転の様子
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複合現実を用いた運転の振り返り
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Unityベースのドライブシミュレータ

運転振り返りロボットの開発

高齢ドライバーの運転技能の維持・向上を促す取り組みとして、現在は教習所での講習が主に行われています。しかしこの方法には、決められた時間に指定の場所へ通う必要があるという時間的・地理的な制約があり、繰り返し実施することが難しく、継続的な振り返りには適していません。こうした課題を解決するために、本研究では、自宅などの身近な環境で、より気軽に自身の運転を見直すことができる新たな仕組みとして、「運転振り返りロボット」の開発を進めています。このロボットは、運転時に同乗し、帰宅後にドライバーと共に走行映像を用いて運転内容を振り返ることで、運転行動の改善を支援することを目的としています。

関連論文

  • ロボットに対して愛着を持つことで、アドバイスの受け入れやすさ(支援受容性)が高まる可能性があるとされており、本研究では特に「名付け」による擬人化の効果に注目し、愛着と支援受容性の関係について検討しています。
    • Kota Tanaka, Maho Shigematsu, Masayoshi Kanoh, Felix Jimenez, Mitsuhiro Hayase, Naoto Mukai, Tomohiro Yoshikawa, and Takahiro Tanaka: The Effect of Adding Japanese Honorifics When Naming a Driving-Review Robot, Journal of Robotics and Mechatronics, vol. 36, no. 6, pp. 1577-1591, 2024. https://doi.org/10.20965/jrm.2024.p1577
    • 田中 宏太, 加納 政芳, ジメネス フェリックス, 早瀬 光浩, 吉川 大弘, 田中 貴紘, 金森 等: ロボットへの名付けによる擬人化が運転振り返り時の愛着と支援受容性の関係に与える効果, 知能と情報, vol. 33, no. 4, pp. 733-741, 2021. https://doi.org/10.3156/jsoft.33.4_733
  • 高齢ドライバーによる運転の振り返りを支援するために、複合現実(Mixed Reality, MR)とロボットを組み合わせたシステムの開発とその効果の検証を行っています。
    • Yuta Kato, Yuya Aikawa, Masayoshi Kanoh, Felix Jimenez, Mitsuhiro Hayase, Takahiro Tanaka, and Hitoshi Kanamori: A Robot System Using Mixed Reality to Encourage Driving Review, International Conference on Human-Computer Interaction, 2019.https://doi.org/10.1007/978-3-030-23528-4_16
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ZERO human 2015/2/26
ZERO human 2015/2/26

人に世話されるロボット「Babyloid」の開発

人が生きがいを持つためには、仕事などの周囲との積極的な関わりが必要ですそのためには、いつでも関わり合える存在がその人の周囲に常にいる状態が望まれます。本研究では、人と共生する「世話されるロボットBabyloid(Baby doll -oid)」を開発しています。ロボットの世話という役割によって、人からの意図的な関わり合いを促すことで、生きがいを感じられる生活環境を構築することを考えました。
福祉分野においては、赤ちゃん人形を使ったDoll Therapy(人形療法、赤ちゃん人形療法)が実施されています。Babyloidにも独居高齢者や認知症患者の精神性・社会性の改善といった効果が期待できます。
Babyloidは、改良の後、2015年1月より株式会社東郷製作所からスマイビとして、 2016年8月よりミサワホームからスマイビSとして販売されています

関連論文

  • 高齢者福祉施設にて5名の女性を対象に、各2週間介入実験を行った結果を報告した論文です。抑うつ、気分、飽き具合に対する効果について報告しています。また、インタビューによる質的評価を行っています。
    • Masayoshi Kanoh: A Robot as ``Receiver of Care'' in Symbiosis with People, Journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics, vol. 27, no. 6, pp. 193-201, 2015. https://doi.org/10.3156/jsoft.27.6_193/
  • Babyloidの設計コンセプト、デザイン、仕様などについて解説した論文です。Babyloidは、一般的なロボットが目指すような人と同じように「すべての作業できるように」ではなく、「なにもできないように」設計されたロボットです。ただし、泣く、機嫌が悪くなるなどの生理的・心理的状態を表出することを通して、空腹や暇などの自らの状態を他者(要介護者)の助けによって改善しよう(自己充足性を満たそう)とします。
    • 加納政芳, 清水太郎: なにもできないロボットBabyloidの開発, 日本ロボット学会誌, vol. 29, no. 3, pp. 76-83, 2011. https://doi.org/10.7210/jrsj.29.298

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クローズアップ現代 2012/6/11
クローズアップ現代 2012/6/11

オノマトペによるロボットの直感的操作

オノマトペは、「擬音語」「擬態語」「擬声語」の総称であり、物体の音や響き、状態などを感覚的に表現したものであり、 一般的な語彙に比べて臨場感にあふれた繊細な表現や絶妙な差異を表現することができます。本研究では、オノマトペをロボットの動作生成や操作に利用します。オノマトペを用いた感覚的な情報のやり取りによって、ロボットとの間に言語的・論理的な関係性のみならず、心理的な関係性を築けるのではないかと考えています。
(明治大学小松先生、名古屋工業大学中村先生との共同研究)

関連論文

  • オノマトペは、動作や状態の様態を観察した人がその様態を主観的に捉えて表現する際に使用されますが、 オノマトペには音響的な特徴によって普遍的なイメージを伝達する作用があるという考え方が存在します。本稿では、この考え方に基づいて、オノマトペの音響的特徴を用いたロボットのモーション編集のための操作平面システムを提案しています。
    • Junki Ito, Masayoshi Kanoh, Tsuyoshi Nakamura and Takanori Komatsu: Editing Robot Motion Using Phonemic Feature of Onomatopoeias, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, vol. 17, no. 2, pp. 227-236, 2013. https://doi.org/10.20965/jaciii.2013.p0227
  • オノマトペにはある程度の客観性はありますが、それでも個々人によって若干のイメージの違いが存在します。本稿では、イメージの違いを調整する手法を提案しています。
    • 伊藤惇貴, 加納政芳, 中村剛士, 小松孝徳: オノマトペの音象徴属性値の調整のための一手法, 人工知能学会論文誌, vol. 30, no. 1, pp. 364-371, 2015. https://doi.org/10.1527/tjsai.30.364

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教育支援ロボットの開発

今後、人とロボットが共生する世の中になっていくと想像されます。本研究では、人と共に学び合うロボット(教育支援ロボット)の開発を進めています。
(名古屋大学古橋先生、吉川先生、ジメネス先生、名古屋工業大学中村先生との共同研究)

関連論文

  • 2014年時点での教育支援ロボットの研究動向をまとめた解説論文です。
    • ジメネスフェリックス, 加納政芳: 教育現場で活用されるロボットの研究動向, 知能と情報, vol. 26, no. 1, pp. 2-8, 2014. https://doi.org/10.3156/jsoft.26.1_2
  • 学習者をほめる際にオノマトペを使うことで、学習効果が上がるかどうかを調査した論文です。
    • Felix Jimenez, Masayoshi Kanoh, Tomohiro Yoshikawa, Takeshi Furuhashi and Tsuyoshi Nakamura: Effect of Robot Utterances Using Onomatopoeia on Collaborative Learning, Journal of Artificial Intelligence and Soft Computing Research, vol. 4, no. 2, pp. 125-131, 2014. https://doi.org/10.1515/jaiscr-2015-0003

ロボットの感情表出

本研究では、ロボットがロボット自身の身体性に基づいた感情表出を行うことで、 人とロボットとのコミュニケーションに心理的インタラクションを創発させることを目指しています。

関連論文

  • シンプルリカレントネットワークによって過去の入力情報を記憶することで、ユーザの入力タイミングによってインタラクティブに表情を生成する手法を提案しています。
    • Yuki Matsui, Masayoshi Kanoh, Shohei Kato, Tsuyoshi Nakamura and Hidenori Itoh: A Model for Generating Facial Expressions Using Virtual Emotion Based on Simple Recurrent Network, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, vol.14, no.5, pp.453-463, 2010. https://doi.org/10.20965/jaciii.2010.p0453
    • 松井裕紀, 加納政芳, 加藤昇平, 伊藤英則: Simple Recurrent Networkを用いた感性ロボットのインタラクティブ表情表出, 日本ロボット学会誌, vol. 28, no. 3, pp. 120-128, 2010. https://doi.org/10.7210/jrsj.28.360
  • 恒等写像学習によって構築された感情空間内を、表情制御値が最小となる経路を選択して表情表出する手法を提案しています。これによって、エンタテインメント性と人間性の双方の特徴を有した表情が生成できることを確認しました。
    • 柴田寛, 加納政芳, 加藤昇平, 伊藤英則: 感性ロボットifbotの感情空間を用いた感情遷移に伴う表情変化の主観的影響, 知能と情報, vol. 21, no. 5, pp. 630-639, 2009 (日本知能情報ファジィ学会論文賞 受賞論文). https://doi.org/10.3156/jsoft.21.630
  • 恒等写像学習を用いて感情空間を構築して、空間で組み込み表情の軌跡をガウス関数を使って滑らかに接続する手法の提案しています。作られた表情は、滑らかに接続され、活性度を失わない表情となります。
    • Masayoshi Kanoh, Susumu Iwata, Shohei Kato and Hidenori Itoh: Emotive Facial Expressions of Sensitivity Communication Robot ``Ifbot'', Kansei Engineering International, vol. 5, no. 3, pp. 35-42, 2005 (日本感性工学会技術賞 受賞論文). https://doi.org/10.5057/kei.5.3_35
  • 感情空間内に主観評価に基づいて感情領域を設定。感情を強く表現する表情の制御速度は興奮(怒り、驚き、喜び)・沈静(悲しみ)によって異なるところが面白いです。
    • 後藤みの理, 加納政芳, 加藤昇平, 國立勉, 伊藤英則: 感性ロボットのための感情領域を用いた表情生成, 人工知能学会論文誌, vol. 21, no. 1, pp. 55-62, 2006. https://doi.org/10.1527/tjsai.21.55

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300回目の動作
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1031回目の動作
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1564回目の動作
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実機の動作

学習・進化によるヒューマノイドロボットの動作生成

本研究では、不確実性や想定外の変化が起こる実環境に適応的に対処するための制御則を、ロボットが学習・進化を通じて自動的に獲得することを目指しています。

関連論文

  • 二分決定グラフを進化させることによりロボットの動作を獲得させています。
    • Masashi Sakai, Masayoshi Kanoh and Tsuyoshi Nakamura: Evolutionary Multi-Valued Decision Diagrams for Obtaining Motion Representation of Humanoid Robots, IEEE Transactions on Systems, Man and Cybernetics, Part C, vol. 42, no. 5, pp. 653-663, 2012. (IF=2.548) https://doi.org/10.1109/TSMCC.2011.2176487
    • 加納政芳, 伊藤英則: n-BDDのための節点の動的追加手法 −ロボットの行動則獲得への適用−, 知能と情報, vol. 20, no. 6, pp. 909-920, 2008. https://doi.org/10.3156/jsoft.20.909
  • 強化学習を用いてヒューマノイドロボットの動作を獲得させています。
    • Shingo Iida, Kiyotake Kuwayama, Masayoshi Kanoh, Shohei Kato and Hidenori Itoh: A Dynamic Allocation Method of Basis Functions in Reinforcement Learning, Lecture Notes in Artificial Intelligence, vol. 3339, pp. 272-283, 2004. https://doi.org/10.1007/978-3-540-30549-1_25
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電動アシスト付きシルバーカーの開発

運動能力が低下した高齢者は家に閉じこもりがちになるため、社会性の低下が懸念されています。また、高齢化の進む日本では、高齢者を支える労働人口の増加は期待できないため、ロボットによる自立支援技術への期待が高まりつつあります。本研究では、高齢者が使用するシルバーカーに着目して研究を進めています。 シルバーカーは、買い物などの外出や荷物の運搬などを支援する歩行支援機器ですが、動力源がなく、坂道では荷物の重量によって身体に大きな負担がかかるため、電動アシスト付シルバーカーを開発し、身体的な負担の軽減効果を調査しています。
(中京大学種田先生、名古屋工業大学中村先生、株式会社アスカとの共同研究)

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他者的に自己充足性を満たすロボット

自己充足性とは動物が長期間にわたって自身を維持する能力のことです。例えば、ロボットであれば、バッテリレベルを維持するために燃料供給を行う、などが考えられます。自らの維持は、直感的には、このように自己的に行われると思われがちですが、実世界に目を向けると「他者的」に行われる場合も数多く見受けられます。たとえば赤ん坊の自己充足の方法です。赤ん坊は、母親という絶対的な依存者を有しており、母親を介して自己充足性を満たしています。言い換えますと、赤ん坊は、心理・生理状態の不安定さや身体状態の不調を、顔表情や身体動作で表現することで、母親にその状態を察知してもらい、自らの状態を改善しています。
本研究では「他者的に自己充足性を満たす」点に着目した研究を進めています。

関連論文

  • 自己充足性を実現するモデルとして、アージ・システムを応用した自己充足モデルを提案し、エージェントに特有のアージ・システムが働くような限定環境を仮想空間上に構築し、本モデルの振る舞いを検証した論文です。
    • Teruaki Ando and Masayoshi Kanoh: Psychological Effects of a Self-Sufficiency Model Based on Urge System, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, vol. 14, no. 7, pp. 877-884, 2010. https://doi.org/10.20965/jaciii.2010.p0877

中京大学 工学部 機械システム工学科 人間共生ロボティクス研究室(加納研究室)

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