戦争を記録し、あるいは戦争犠牲者を慰霊するために建設された公園や墓地、各種の祈念館や博物館、収容所跡をはじめとする施設が「戦争記念物」としての築造物になります。
公園
日本国内においては、広島の平和記念公園や沖縄の沖縄戦跡国定公園・沖縄平和祈念公園のようなものが代表的といえます。公園そのものが戦争の記録あるいは戦争犠牲者の慰霊といった役割をもって設置されており、敷地内には祈念館や博物館が設置され、各種記念碑が建立されていることがあります。
墓地
ここでは、主に戦没した軍人の墓が複数建立されている、いわゆる軍人墓地をいいます。
この軍人墓地は、例えばヨーロッパでは公共の公園墓地の一角に軍人墓地の区画が設けられたり、
戦跡にその地で戦死した兵士の墓地が築造されているものなどがあります。
また、日本国内においては、陸軍であればかつての師団や連隊の衛戍地に、海軍であれば鎮守府や要港部の地に、陸軍墓地あるいは海軍墓地の形で築造される場合や、
あるいは地域の共同墓地の一角に軍人墓地として戦没者の墓碑が建立された区画が設けられることがあります。
(この軍人墓地には、純粋な軍人のみでなく軍属や動員学徒など、軍隊に関連して死没した人が埋葬されている場合も含まれます)
日欧いずれも、建立される墓碑は個人墓として埋葬される場合や、合葬墓として複数人が一つの墓に葬られる場合があります。
平和祈念館・戦争博物館・収容所跡
戦争犠牲者を慰霊したり、戦争に関する様々な展示を行う各種の施設になります。
戦争を記録したり、戦争犠牲者を慰霊するための建物が「戦争記念物」としての建造物になります。
この建造物は、慰霊堂・忠魂堂・忠霊殿といった名称で呼ばれており、建物の内外に戦争犠牲者を追悼する展示や祭壇、芳名板や位牌などが安置されてます。
これらの建造物は、単独で建造される場合と、寺社の境内や教会及び墓地の内部、前述した築造物の敷地内に建造される場合があります。
記念碑は、戦争を記録し、あるいは戦争犠牲者を記録・慰霊するための碑や塔を総称する物です。
戦争記念碑・平和祈念碑・忠魂碑・慰霊碑・忠霊塔・銅像あるいは墓碑などがあります。
この記念碑は日本国内においては、都道府県や市郡町村、大字単位といった区域単位、軍や師団や連隊、艦艇といった部隊単位、学徒動員や空襲被害といった会社や学校などの組織単位で建立されるものが多く見られます。
日本全体での記念碑の正確な数は未だ把握されていませんが、数万基にのぼると考えられます。
戦争記念碑
戦争を記録し、戦勝(戦捷)であれば戦争に勝利したことを祝賀し、地域や部隊や個人の戦争への貢献を記録し後世に伝える役割をもった碑と言えます。
平和祈念碑
戦争犠牲者を記録し慰霊し、平和を祈念する碑です。
忠魂碑
戦争で戦死・戦傷病死した軍人・軍属の慰霊のために建立された碑になります。
なお、人間以外にも軍馬・軍犬・軍鳩の忠魂碑も存在します。
慰霊碑
忠魂碑と同じく死者を慰霊する碑といえますが、軍人軍属だけではなく、民間人も含むあらゆる戦争犠牲者を慰霊するための記念碑といえます。
忠霊塔
主に、昭和10年代に国策により国内外各地に建立された、戦没者を慰霊する塔型の記念碑になります。
墓碑
戦争犠牲者の墓になります。
個人の墓石を建てて埋葬される場合と、合葬墓として複数人まとめられて埋葬される場合があります。
墓碑には、官姓名(氏名・所属・階級など)、戒名、享年や死亡した年月日のほか、埋葬者の経歴・軍歴(とくに戦死した時の場所と状況)を記録したものも見られます。
墓碑は厳密には記念碑とは異なりますが、単に埋葬し故人を忘れないためだけではなく、その経歴や、空襲や虐殺などによって死亡したという事実を前面に主張した墓碑も存在することから、ここでは記念碑の一部として取り扱います。
なお、当「戦争記念物アーカイブ」においては、「過去の人物や出来事を記録する」という記念碑の性格と、戦争犠牲者の個人情報保護に鑑み、記録碑や顕彰碑としての性格を持つ個人碑は掲載することとし、複数人数が埋葬された合葬墓は被葬者名を伏せて掲載します。また、個人の墓碑を個人が特定できる形で掲載することについては見合わせております。